分刻みのスケジュールで検査や処置に追われ、鳴り止まないナースコールに対応しながら、急な入院の受け入れ準備をする…急性期病棟での日々は、目まぐるしいスピードの波に飲み込まれるような感覚でした。要領が悪く、物事を一つずつ丁寧に確認しながら進めたいタイプの私は、常にマルチタスクを求められる病棟の環境に全くついていくことができず、毎日何かしらのやり残しを作っては、先輩に頭を下げる日々を過ごしていました。
同期の看護師たちがテキパキと重症患者さんのケアをこなし、夜勤のリーダー業務を覚えていく姿を横目に、私はいつも自分の無力さに涙を流していました。周りと比べて「私はなんて仕事ができないんだろう」と落ち込み、完全に職場の落ちこぼれだと自分にレッテルを貼っていたのです。だんだん仕事が怖くなり、朝起きて制服に着替えるだけで涙が溢れてくるようになって、私は病棟を離れる決心をしました。
そうして新しく働き始めたのが、地域に根ざした小さな小児科のクリニックです。ここでは、病棟のような予測不可能な急変や激しいマルチタスクはほとんどなく、事前の予約に沿って診療や予防接種の補助を丁寧に行うスタイルでした。一つの業務にじっくりと集中して向き合える環境は私の性格に驚くほど合っており、患者さんの話をじっくり聞いて不安を和らげるという、自分本来の丁寧な看護の実践ができるようになったのです。この転職を通して私は、自分がダメな看護師だったのではなく、単に働く環境が合っていなかっただけなのだと気付かされました。医療の世界にはさまざまな形の職場があり、それぞれの個性が輝く適材適所が必ず存在します。もし今の環境がつらく、精神的にも限界が訪れているのなら、転職も視野に入れてみることをおすすめします。