繊細体質な私が意識している「境界線」の引き方

病気や怪我による不安、思い通りにならない身体への苛立ちから、ときに医療従事者に厳しい言葉をぶつけてしまう患者さんがいます。「看護師のくせに気が利かない」「早くしろと言っただろう」などとステーションに響く怒鳴り声に、胸が締め付けられるような思いをした経験は、誰しも一度はあるのではないでしょうか。特に人の気持ちを敏感に察知してしまう繊細な看護師にとって、こうした不機嫌なエネルギーをまともに受け止めると、心が削られるようなつらさがあります。

それだけでなく、目の前の患者さんがつらそうにしていると、その痛みが自分のことのように流れ込んできてしまい、業務が終わった後もずっとその人のことを考えて落ち込んでしまうこともあるでしょう。そんな繊細な看護師さんほど、相手の感情の波に知らぬ間に飲み込まれやすく、そのままにしていると心がヘトヘトになってしまいます。理不尽な怒りや悲しみに直面したとき、それを自分のせいだと思い込んでしまうと、どんなにタフな心を持っていても、あっという間に傷つき疲弊することになってしまいます。

こうした心のすり減りを防ぐために、私が毎日の勤務で実践しているのが、自分に心のパーテーションをパッと立てるイメージを持つことです。患者さんからネガティブな言葉をぶつけられた瞬間、頭の中で自分の目の前に透明で頑丈な仕切り板を設置するシミュレーションをします。「この感情を心の中までは入れさせない」と、その板がすべての攻撃を弾き返してくれる様子を想像するのです。

相手の話にはプロとして真摯に耳を傾け、必要なケアは心を込めて行いますが、相手が発した負の感情の責任まで自分が背負う必要はありません。冷たいように思えるかもしれませんが、この適度な心の距離をキープすることこそが、大切な自分の元気を守り、結果として他の患者さんに温かいケアを届け続けるエネルギーの温存にもなるのです。